2012年03月30日

眼科医Dr.美鈴のドキドキハート(トランプ)ICL手術体験記

ICL体験記



普段診療をしていると、近視で困っている方は非常に多く、とくに強度近視の方は常にコンタクトレンズが必要なため不自由を感じている方がたくさんいらっしゃいます。
私も高校生の頃からコンタクトレンズを使用していましたが、ドライアイがひどくいつもごろごろ感やレンズの曇りに悩まされていたため、近視手術を受けることにしました。

これまで近視の手術といえばレーシックが主流でしたが、近視が強すぎる場合や角膜厚が薄い場合にはレーシックを受けることができません。
私の場合も強度近視で角膜厚が薄く、当院でのiLASIKを受けることができなかったため今回ICL手術を受けました。

ICLは目の中に挿入する視力矯正用のレンズで、2010年に厚生労働省から高度管理医療機器として承認された唯一のフェイキックIOLです。強度近視や角膜厚が薄い方、円錐角膜疑いの方などレーシック適応外だった方にも近視手術の道が開けました。
また、2011年11月に乱視用ICLが厚生労働省から認可されましたので、乱視が強い方も安全に手術を受けて頂くことができるようになりました。
レーシックとの違いは、レンズの摘出により元の状態に戻すことが可能であること、交換により度数の変化にも対応できること、コントラスト感度があがること、術後の戻りが少なく視力経過が安定しているなどの利点があり、強度近視の方に向いている手術といえます。

<手術までの流れ>
@まず近視乱視の度数、目の大きさ、瞳孔の大きさ、前房の深さ、角膜内皮細胞数を測定し、ICL挿入が可能かどうかを調べます。
A医師の診察と精密視力検査を行い、挿入するICLの度数とサイズを決定します。
BICL挿入後に眼圧が上昇するのを防ぐため、手術の約1週間前にレーザーで虹彩に孔を開ける処置を行います。

私の場合、毎日薄暗い診察室で一日中パソコンを使っており、目の疲れがひどかったため、挿入するICLの度数は少し軽いものを選びました。
ICLの度数は、近視、乱視の度数だけでなく、年齢、職業、生活スタイルを考慮して、その方のベストを選択します。検査とカウンセリングをしっかり行いますので安心して手術をお受けください。


<手術当日>
Untitled-1.jpg@手術の1〜2時間前から散瞳剤、
抗生剤、麻酔薬を点眼します。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


Untitled-2.jpgAベッドに横になり消毒をします。

Untitled-3.jpgB角膜を約3mm切開し、虹彩と水晶体の間にICLを挿入します。切開創は糸で縫合することなく、眼内圧によって自己閉鎖します。片眼約5分で終了です。

Untitled-4.jpg


手術の流れは全て分かっているので、「痛かったらどうしよう・・」と緊張して身構えてしまいましたが、実際は目を押される感じや器械が動く感じだけで痛みは全くなく、切ったかどうかも全然わかりませんでした。
患者さんからはよく「手術しているのが見えますか?」と聞かれますが、ICLを受ける方は基本的に近視以外に異常がなく、神経が元気なので、手術中はぼんやり見えます。ただし、光の中に影が見えたり、水がゆらゆら見える程度なので心配ありません。
手術を受ける側のポイントですが、目に力が入ったり、キョロキョロ動くと術者は手術がとてもやりにくくなります。手術中は両目を開けて目の力を抜いておくこと、顕微鏡の光の中に黒い四角い影が二つ見えますので、それをずっと追って見ていれば大丈夫です。

Untitled-5.jpg<手術後>
ベッドから起き上がった時点ですでに撮っているデジカメが見えていました。


Untitled-6.jpg

20分ほど休んだ後、診察を受けて終了です。
Untitled-7.jpg

手術直後はまだかすんで見えますが、夜にはかなり見えるようになりました。
手術前の視力は両眼とも0.04でしたが、度数を弱めにしたにもかかわらず、術翌日の視力は右1.0左1.2 術後1週間の視力は右1.2左1.5で、疲れもなくとても満足しています。
術後2.3日の間は、目を動かすと少しズキっと痛む感じがありますが、日常生活には全く支障はなく、術後2日目から通常の診療を開始しました。コンタクトレンズによるごろごろ感、乾燥感、アレルギー症状からも解放され、毎日とても快適です。
高校生の時、眼鏡からコンタクトレンズに変えた時にも、こんなにはっきり見えるものなのかと感動したのを覚えていますが、ICLはコンタクトレンズよりもさらに鮮明に見えます。術翌日は病院までの景色がとても鮮やかでキラキラして見えました。

ICLは強度近視の方や角膜厚が薄くてLASIKが受けられない方、円錐角膜疑いの方だけでなく、LASIKで角膜を削ることに抵抗のある方などにもお勧めしています。
岡眼科では手術はもちろん、術前術後のケアまで責任をもって対応しますので、安心して手術をお受け下さい。手術に不安のある方や、話を聞いてみたいという方は、お気軽に声をおかけください。

岡眼科クリニック 近藤美鈴

 

 

posted by 眼科医ドクターのコラム at 00:00| Comment(0) | ドクター美鈴
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