2012年12月01日

ドクター美鈴の臨床眼科学会報告♪

学会2日目

P1000376.jpg昨日は午前中のみ外来を行って、夕方新幹線で京都に着きました。患者様には学会中診療をお休みすることで大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

岡眼科では、常に新しい治療、最善の治療を取り入れたいと考えており、主要な眼科学会には医師全員と看護師、視能訓練士、医療事務、医療秘書が交代で参加しております。

今日の講演で聞いたことを次の診療に取り入れていくようしっかり勉強したいと思います。


私は難症例の屈折矯正手術のインストラクションコースに参加してきました。

白内障手術後の屈折誤差に対するLASIKや角膜拡張症に対する角膜内リング、フェムトセカンドレーザーによる乱視矯正、LASIK後の感染症についての講演がありました。


岡眼科でも多焦点眼内レンズ術後の残余乱視に対するLASIKを行っていますが、ドライアイの悪化や、角膜径が小さく照射径が十分に取れない場合があり、手術が困難な症例があります。

今回のインストラクションコースで発表されていたフェムトセカンドレーザーによる乱視矯正は、十分な瞼裂幅があれば角膜径が小さい方でも手術が可能です。また、角膜表面には傷を作らず、実質内の切除のみ行うので、感染リスクも少なく、ドライアイの悪化もありません。術後の痛みや違和感などもほとんどありませんので、軽度の残余乱視に対する手術としてはリスクが少なく非常に良い手術だと感じました。岡眼科でも早速取り入れていく予定です。

LASIK後の感染は非常に稀ですが、2008年のデータでは0.09%と報告されていました。原因として睫毛根部や涙嚢の分泌物からの感染が多いため、引き続き術前のドレーピングやフラップを戻した時の洗浄には細心の注意を払っていきたいと思います。また、最近では医療従事者に耐性菌が多いことが問題となっているため、術前にハイリスク眼を認識し、ハイリスク眼には術前の眼脂培養を徹底していきたいと思います。


学会4日目

学会終了後に行われるスタージャパン主催のICL認定コースを受けるため、屈折矯正手術講習会に参加しました。屈折矯正手術の歴史から手術の適応、LASIK、PhakicIOLの基本を再度勉強することができ、現在行っている手術の見直しにもなりました。

その後場所を移動してICL認定コースの講習会を受けました。

岡眼科では、すでに多数のICL手術を行っていますが、ICL術後に注意すべき問題の一つとして白内障の進行があります。臨床的に問題となる白内障は1〜2%ですが、術後1〜4年経過して発症する場合もあるため、術後は長期に渡る定期的な経過観察が重要と思われました。

白内障進行のリスクファクターとしては、40歳以上、-12D以上の強度近視、LowVaultが報告されていました。Vaultの通常許容範囲は0.5〜1.5CTですが、術後徐々に狭くなってくる例が多いため、前房深度が十分深ければ術直後に2CT程度あっても問題ないとのことでした。今後ICLのサイズを選択する際の参考にしたいと思います。

今回、holeつきICLについての講演もありました。白内障進行の原因の一つとして房水循環障害による代謝栄養不全があります。holeつきICLの場合、房水循環障害の問題が解決されます。また、術前のレーザー虹彩切開が不要になるため、患者さんの負担も少なく、角膜内皮減少のリスクも減るため、今後はholeつきICLが主流になっていくと思われました。

今回ICL認定に必要な講習が終了しましたので、この後認定手術が終われば認定証が発行されます。岡院長がICLのインストラクター資格を持っていますので、私の認定手術のインストラクターになっていただく予定です。院長はICL手術だけでなく多数の多焦点眼内レンズ手術や硝子体手術を行っており、非常に厳しい目で手術の指導をされると思いますので、緊張して手が震えないように頑張りたいと思います。

私自身も昨年ICLの手術を受けとても満足しているため、自分の手で患者様によりよい治療を提供できるよう、日々努力していきたいと思います。

岡眼科クリニック 近藤美鈴
 

 

 

posted by 眼科医ドクターのコラム at 00:00| ドクター美鈴